こちらのターザンもかなり人気があり、ゴエリンギーと並んで最初のディッキアに選ぶ人も多いのではないでしょうか。ディッキアを扱うほぼ全ての園芸業者が所有していますので、かなり昔から流通していると思われます。そのせいか、容姿も若干違うものが流通しています。
冒頭に載せている写真は私が気に入っているタイプですが、ディッキアに詳しい方からすると、むかし流通していたターザンはもっともっと地味でこんなにカッコよくなかったそうです。ターザンに他の交配種の血が入ったか、あるいはターザンの実生で良い株が選別された結果か、わかりませんが少なくとも往年のディッキア愛好家の方は今のターザンのほうが良いと言っていました。
タケノコのように子株が出ています。
新しい葉は赤みが出やすいですが、大きくなると緑色が濃くなる傾向があります。強い光を当てて育てると黒っぽくなって、深緑色に密に生えた白い歯がとても美しい姿となります。
海外の園芸関連サイトではTarzan、またはTarzanaという表記を見かけます。どういった経緯かは分かりませんが、両方ともビルベイカー氏のターザンを指しているようです。ちなみに「Tarzana」で検索するとアメリカ合衆国 カリフォルニア州のタルザナという地名がヒットします。ビルベイカー氏はアリゾナやカリフォルニアなどの交配種も作っていますので、地名の方で名前を付けた可能性もあります。ターザンについては登録された情報が見当たらず、このあたりの事実は良くわからない状況です。
同じタイプと思われる株。
こちらの株も私の好きなタイプです。トリコームに覆われた大きな棘と黒みを帯びたグリーンの葉がきれいです。同じ株でも育てから次第で、葉が徒長して棘の間隔が大きく空いてしまったり、トリコームがあまり乗らないこともあるので、違うタイプの株と言い切ることはできません。しかし、みなさんもご経験があると思いますが、明らかに容姿の違う株も同じ名前で流通しており、どちらもターザンとして認識されているのが現状です。
こちらは別の株。夏の様子。
こちらはまだ小さな苗です。
ディッキアある程度の大きさにならないと、どんな容姿となるかわからない部分があります。小さな時は棘のリコームが少なかったり、色合いが薄かったりするので、小さな時は地味でも想像以上に良くなるケースもあります。上記の画像は少し控えめな棘です。前述の昔ながらのターザンかもしれませんが、こちらも大きくなってから様変わりする可能性もあります。
まだ特徴の出ていない苗を大きく育てていくのは、とても楽しい経験です。棘の付き方や葉の色合いなど、育てる環境で全く別物のように見た目が変わることもあります。育てるひとの腕次第で良くも悪くもなるので、色々と手を出したり、失敗したり成功したり結局はそういったプロセスが園芸の楽しさではないかと思います。